2020/2 出版流通学院

前回はStep1までご説明しました。
今回はStep2と3、店舗の生産性を左右する人員計画まで、一気に行ってみます。

日販出版流通学院_書店の運営費用をシュミレーション

Step2 正社員、パートさんの人員計画

店舗を運営する上で必要な総営業時間から正社員の労働時間を差し引き、パートさんの人員計画を算出します。
※これ以降、労働時間、営業時間がたくさん出てきますので、ごっちゃにならないようご注意ください。

③店舗の総営業時間を出す

店舗の月の営業時間は、
1日12時間営業×営業日数30日=360時間
店舗の月の営業時間は360時間となります。
営業している時間はさまざまな経費が発生するので、経費圧縮を検討するには営業時間を10時間にするなどでコストの発生を抑制することもできます。

 

④正社員の労働時間と給与を決める

正社員の労働時間は、
1日8時間×月の出勤日数20日=160時間
正社員の1人の月の労働時間160時間、年間では1920時間となります。
また給与は『書店経営指標2019』の年間支給額3,131千円から月300千円とします。

 

⑤パートさんの労働時間と時給を算出する

パートさんの労働時間の算出は、
月の人件費総額1,230千円ー正社員給与300千円=930千円
パートさんに支払う人件費の上限は930千円となり、
支払い時給の平均を1,000円にすると、パ―トさん全体の月の労働時間は930時間が上限になります。

人件費の上限は変わらないので、時給とは別に成果報酬などの予算をもっておくためには、時給を引き上げて労働時間を下げる設定をしておくなどのシミュレーションも必要になります。

 

⑥1日の営業時間内のパート人員を出す。

1日当りのパートさんの労働時間は、
月の労働時間930時間÷30日≒31時間

パートさんの労働時間は1日31時間までとなり、これを店舗の営業時間で割ればパートさんの人員が算出できます。
店舗の営業時間中に常時いるパートさんの人数の上限は、
31時間÷営業時間12時間=2.6人
パートさんは常時2.6人までとなります。

なお、生産性などを分析する際にパートさんの人員数は正社員の労働時間に換算して行われます。

社員換算人数の計算式は、
1日のパートさんの合計労働時間31時間÷正社員労働時間8時間=3.9人
店舗の営業時間12時間に常時いるのは2.6人ですが、1日8時間の社員換算では3.9人という計算になります。

 

⑦パートさんの人員を計画する

先ほどの計算では、常時2.6人が上限となりましたが、雇用する人数上限が2.6人という事ではありません。

常時2.6人分いる状態にするために、複数のパートさんと雇用契約する必要があります。
またパートさんが働きやすく、長期就業しやすい労働環境を作るためにも多様なシフトを組む事も求められています。
下記の表から確保する在籍数の目安を算出します。


この場合、「100坪以下」のパートさんの期末在籍数は9.6人なので、現在の社員換算3.9人とすると、約2.5倍の10人ほどを確保しておく必要がありそうです。

 

日販出版流通学院_書店の費用をシュミレーション

以上のように、今回のシミュレーションでは、正社員は週休2日の1名、パートさんの募集は10人で常時2.6人のシフトを組む、というのが上限になります。なお、平均値なので、実際には週や月、曜日、季節などの変動を考慮します。

Step3 人員計画のチェック

Step2で算出した人員計画が適正な範囲なのか指標と比較してみます。

⑦「1人当たり売上高」と比較する

言葉通り、社員換算人員1人当たりの売上高をさしています。

日販出版流通学院_書店の費用のシュミレーション

算出したパートさんの社員換算人数3.9人に、正社員1人を加えた4.9人で、月商売上を割ると、1人当たり売上高は、2,671千円となり指標を上回っているので〇とします。

 

⑧「人時生産性」と比較する

「人時生産性」は売上総利益額を正社員とパートさんの労働時間合計で割ったもので、1時間当たりの粗利益の大きさをしめしたものです。

昔と違って「店を開けておけば売上は上がる」という時代ではありません。コンビニも24間営業の見直しに着手しています。

いかに時間当たりの生産性を上げるかは今後の経営に必須テーマとなっています。

シミュレーションでの人時生産性を計算すると、
売上総利益額は3,403千円を、正社員160時間とパートさん930時間の合計1,090時間で割ると3,122千円となり、指標を上回っているので〇とします。

 

⑨「1人当たり面積」と比較する

店舗の広さに相応した人員数(社員換算の在籍数)となっているかの指標で、この坪数が広いと労働の人工が少ないことが予想されます。

1人当たり面積が大きい→労働人工が少ない
    〃         小さい→ 〃        が多い

店舗オペレーションや時間帯にもよりますが、それぞれの店舗に適した人員数を決めておくのも必要なことです。

算出する式は
1人当たり面積=店舗面積(坪)÷社員換算人員数(在籍数)

日販出版流通学院_書店の費用のシュミレーション

このシミュレーションでは、
1人当たり面積=85坪÷4.9人=17.3坪となります。
「100坪以下」の14.1坪よりも大きいので、人員の不足の懸念もありますが、予測売上から算出した人件費の上限なので、業務の簡素化などオペレーションの工夫も必要になります。

 

まとめ

では、今回のシミュレーションをまとめてみます。

商店街立地の売場面積85坪で店舗を構える場合、
月商売上は13,090千円で売上総利益額3,403千円、営業利益額406千円を実現するには、

地代家賃は坪11千円を上限とし、
人員計画は、
正社員は週休2日で1日8時間労働で1人、
パートさんは約10人程度確保し、時給1000円、常時2.6人のシフト体制、

という事になります。

実際には経費もより詳細な経費が掛かりますが、売上高と支払い上限経費のバランスが大事な点であることはご理解いただけたかと思います。

これから店舗を構えて書店を開こうとお考えの方、『書店経営指標』を活用するとこのようなシミュレーションができます。

是非、ご活用ください。そして、今日も、書店さんに行こう。

書店の運営にかかる費用をシミュレーションしてみる~PART1▶

出典
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